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なぜギーが最高の油とされるのか

アーユルヴェーダで最も優れた油とされるギー。
ギーはサンスクリットでグリタといい”輝く”という意味を持ち、「生命を養い輝かせるもの」という定義があります。
これほどまでに高い評価を受けるギーですが、一体なぜなのでしょうか。

神々を喜ばせる? ギーが最も優れた油とされる理由

 ギーの性質や作用の豊かさを理解する上で、インドのヴェーダ儀式を見てみると良いとされます。
マントラを唱えて火を焚いて儀式をする様子は今でもインドの風景の一部です。
儀式では神々へ供物をくべる(火の中に入れる)のですが、その際に必ずギーが捧げられています。

ヴェーダにおいて、牛のミルクには大地の良質なエネルギー全てが凝縮されていると考え、このミルクから作られた不純物を含まない油=ギーを「すべての食物の中で最も重要なもの」としています。

※この考え方は、食べものの栄養が凝縮されたエッセンス、ラサダートゥの副産物としてミルクが現れる(ミルクは身体組織を滋養するエッセンスの現れ)、というダートゥ形成理論にも見ることができます。

地上最高の食べ物とされるギーを火の中に注ぐと炎が大きく上がり、同時に煙が天高くまで上がっていきます。(ギー以外のものを入れてもここまで大きな火は上がりません。)
こうして天空へとギーは届けられ、神々を滋養し喜ばせるのだと言います。


この儀式の仕組みは、アーユルヴェーダの消化(アグニ)の理論と同じといえます。
アグニは食べものを燃やし、身体を支える組織や生命を支える力に栄養を届け、生命そのものを輝かせます。
私たちのアグニにとってもギーは最高の燃料(消化力を高める)であり、ギー自体にも身体を滋養し輝かせる力があると考えます。このような特別な力がある油はギーだけなのです。

<参照記事>
アーユルヴェーダ基礎[アグニについて]
ギーの伝統製法と簡易版家庭用ギーの作り方

アーユルヴェーダ古典文献におけるギーの定義

チャラカサンヒタースートラスターナ13章(油剤法の章)ではギーを油の中で最も優れているとした上で、こう記されます。

ghr̥taṁ pittānilaharaṁ rasaśukraujasāṁ hitam| nirvāpaṇaṁ mr̥dukaraṁ svara varṇa prasādanam||

グリタ(ギー)はピッタとヴァータを緩和し、ラサ、シュクラ、ダートゥを滋養し、冷却作用により灼熱感を和らげ、組織を柔らかくし、声や顔色を良くする。

さらに27章(食べ物に関する章)では具体的なギーの詳細が記されています。

smr̥ti buddhyagni śukraujaḥ kaphamēdōvivardhanam | vātapitta viṣōnmāda śōṣālakṣmījvarāpaham ||
sarvasnēhōttamaṁ śītaṁ madhuraṁ rasapākayōḥ| sahasravīryaṁ vidhibhirghr̥taṁ karmasahasrakr̥t||

ギーは、記憶力、知性、アグニ(消化と代謝)、シュクラ(精液)、オージャス(生命力のエッセンス)、カパ、脂肪を増やす。ヴァータ、ピッタ、中毒、精神異常、消耗、不運、発熱に効果がある。ギーは食用物質の中で最も優れ、効力は冷たく、(味も消化後も)甘味があり、適切な製薬法に従って調製されるとその効力は何千倍にもなり、様々な方法で効果を発揮する。長期保存されたギーは、酩酊、てんかん、失神、消費、精神異常、中毒、発熱、膣、耳、頭の痛みに効果がある。

このようにギーには数え切れないほど有益な用途が示されています。

ギーの性質と効果を臨床的に検証 

ここからは科学的検証によるギーの効能についてです。
以下のリンクでは現代的な視点からギーの用途や効能を検証しています。

ギーが持つ効能の有効性を牛とバファローの各成分比較で検証しています。
「ギー:その性質と、健康に与える効能について」 

ギーの成分について解説をしながら、アーユルヴェーダの視点からどのような病気に効果があり、アーユルヴェーダセラピーではどのように使われるかを説明しています。 
「ギーの持つ健康的効能:アーユルヴェーダの視点から検証」


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まとめ

その多様な用途と効能が実証されているギーは、ヴェーダの時代から現代に至るまで脈々と続く古代の叡智の結晶とも言えます。健康効果はもちろんのこと、叡智の恩恵を受けられることに感謝しながら最高の油=ギーを大切に活用していきたいですね。 



※当サイトの目的は、アーユルヴェーダに関する情報共有であり、医行為を推奨するもの、医学的根拠や効果を保証するものではありません。


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